スイスの時計産業は基本的に、電子式クオーツ時計と機械式時計という2種類の時計を生産しています。全体の4分の3は、電子式時計です。機械式時計は、生産量は少ないものの、金額ベースでの重要性は極めて大きく、総生産額の75%以上を占めています。
クオーツ時計
クオーツ時計の心臓部は、集積回路で構成されています。水晶振動子が時間を刻み、バッテリから供給される電気エネルギーの力によって振動します。エネルギー源は、数年の寿命を有する小型電池です。水晶振動子がバッテリからのエネルギーを振動へと変換し、時間を分割します。
クオーツ時計は振動数が高い(32 kHz)ため、非常に正確です。結果的に、年間の誤差は非常にわずかとなります。その誤差は、1年で1分、すなわち1日1秒未満です。
クオーツ時計のディスプレイには、2種類あります。最も一般的なのはアナログ表示、すなわち針があるものです。
デジタル表示の時計には液晶が含まれており、この液晶が時間を表示するために必要な刺激を集積回路から直接受け取ります。したがって、機械的なエネルギーの伝達はありません。
このような2種類のディスプレイを組み合わせて、広範な表示(現在時刻と短時間の測定など)をすることができます。
クオーツ時計の略図
1) バッテリ
2) 集積回路(クオーツに作用し、ステッピングモーターへの振動を制御する)
3) クオーツ
4) トリマー(振動数を調整する)
5) ステッピングモーター(電気的振動を機械的な力に変換する)
6) ギアトレイン(モーションワーク(時、分、秒)を駆動する)
7) アナログ表示
機械式時計
標準的な機械式時計には、3つのサブアセンブリ(すなわち、エネルギー源)、調整部品、ディスプレイに組み立てられた約130の部品があります。当然ながら、コンプリケーション(クロノグラフ、カレンダー、ムーンフェーズ、フライバックハンドなど)のある腕時計の方が、部品の数は多くなります。ゼンマイが生み出すエネルギーは、歯車の組み合わせによって伝達されます。エスケープメントが動力を伝え、一方でテンプが時間を分割します。ローターによって、手動または自動でゼンマイを巻きます。
機械式時計のダイアグラム
1) ゼンマイ
2) 輸列
3) エスケープメント
4) テンプ
5) 手巻用と時刻設定用の巻真 / ローター
6) アナログ表示
自動巻きクオーツ時計
スイスの時計メーカーは、これら2種類の技術を組み合わせるという難問を克服しました。クオーツムーブメントとして動作しながら、機械式ムーブメントのように再充電できる腕時計ムーブメントを製造したのです。これによって、クオーツの精度を備えた自動巻き時計が生まれました。
その動作原理は単純でありながら、革命的なものです。自動再充電メカニズム(回転錘)がぜんまいを締め、このぜんまいが緩められるときに、機械エネルギーを電気エネルギーに変換できる小型発電機を起動します。このエネルギーは、キャパシタに蓄積されます。その後、システムは従来のクオーツ時計のように動作し、エネルギー配分を制御する集積回路とステッピングモーターを駆動するのに必要な勢力を生み出します。